コンバージョンの必要性
日本でのコンバージョンの可能性に最初に注目したのは、
減少する新築物件に代わる業務を探していたゼネコンだと言われています。
一方、収益力の下がった物件を持つオーナーや、
利払いが止まっている融資案件の再生を望む銀行もこれに関心を寄せはじめています。
また、デベロッパーにとってみれば、これまで手がけてこなかった
都心部の賃貸事業に進出する好機であり、
投資家にとっては、新築に比べて短期間でリターンを得られる投資対象であります。
これがコンバージョンを取り巻く大まかな状況と言っていいと思います。
しかし、こうした役者が揃っている割には実際の事業の進展は比較的ゆっくりです。
産官学によるコンバージョン研究会の代表を務める東京大学大学院助教授の村松秀一氏によると、
今後コンバージョン進展のカギを握るのは、住空間の企画を行う人材の活躍である、といわれています。
生活様式を踏まえた上で空間プランニングを行い、
さらにそれを事業計画としてまとめ上げる
存在なくしてコンバージョンは成立しないと思います。
これまでのところ用途転換に伴うビルの構造や設備といった
技術面ばかりが話題になることが多かったが、
いよいよ次のステップが重視されてきたということでしょう。
実のところ、既存の建物を利用しつつ、
新築以上に魅力的な空間を作り出すことはそう簡単ではないのです。
そこでは法令や立地条件他、数々の制約を受け入れつつ、
コンバージョンならではの特徴を打ち出すことのできる新しいプランの存在が重要です。
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